第4回原子力改革監視委員会

2013年7月26日

委員長開会挨拶

(クライン委員長)
本日の会議は以前から予定されていたものであるが、その会議の直前に汚染水の問題が発生してしまったことについて、一言申し上げたい。これまで、汚染水に関しては様々な対策を行ってきたわけだが、残念ながらこの汚染水の問題が、除染や汚染水対策としてこれまで積み上げてきた進歩を後退させることになりかねないと危惧している。今回の問題については、保守的な形での意思決定が欠けていたと言わざるを得ない。それに加えて懸念されるのが、日本の人々に対して十分な情報を提供していないように思われる点である。これらの対応に鑑みると、東京電力の方々は、自分のしていることがわかっていないのではないか、きちんとした計画がないのではないか、あるいは、全力を挙げて環境と人々を守ろうとしていないのではないか、というように思われる。私たち委員は、東京電力の様々な改革にまつわる行動を聞きにきたわけではあるが、それにとどまらず、地下水の問題などについてもぜひ聞かせていただきたいと思っている。特に関心があるのは、いつ何がわかっていたのか、そしてその対策として何が計画されているのか、という点だ。もう一度申し上げるが、これまで東京電力の改革においては様々な良い変化が続いてきたわけだが、この汚染水の問題がそれとは逆行するものになってしまっていることを非常に遺憾に思う。私からは以上で、今から他の委員の方にコメントをしていただきたい。

各委員から一言

(ジャッジ副委員長)
私はこの数ヶ月、日本の様々な方、特に女性に対して、東京電力は再生し、新しいスタートを切ったと話してきた。そのため、今回の汚染水の問題については非常にがっかりしており、かつ不満に思っている。また、私は個人的にも原子力改革監視委員会が設置されてから、東京電力がどのように変わってきたかを、日本の方々、そして外国の方々にも話してきた。このように私たちはあたらしい東京電力に対しての信頼を醸成してきたわけだが、今回のようなコミュニケーションの問題が発生することにより、それが損なわれてしまいかねない。また、既に委員長からお話があったように、今回は問題の形態と実態の両方に対応の不手際があったと考えられる。私は東京電力が今回の問題への対応の不備から十分な教訓が学ぶことを祈っている。廃炉は複雑かつ難しいプロセスであることを踏まえると、今後も問題の発生は不可避かもしれないが、仮に以後問題が発生した場合には、その内容や東京電力が行おうとしている対処に関して、人々に対して直ちに情報提供がなされることを期待する。
(櫻井委員)
福島の汚染水の問題に関しては、委員長・副委員長と全く同じ考えである。加えて、特に私の専門分野であるリスクコミュニケーションやソーシャルコミュニケーションという観点で、どのようなところに問題があったのか、また、今後どうすればそこが改善されるのかなどについて聞かせていただき、今後もその点について報告いただく、あるいは協議をさせていただきたいと思っている。また、それとは別に、第1四半期のプログレスレポートと関連して、ご承知とは思うが、政府は本年6月11日に国会に対して国会事故調査委員会の提言に対する意見を述べている。その中で内閣は、東京電力の意識改革あるいは情報公開、管理体制、ガバナンスということに対して言及しているが、特に危機管理体制についてはこの原子力改革特別タスクフォースや監視委員会、また原子力安全監視室についてふれており、内閣としても私どもの現在の役割を重く評価していただいていると同時に私たちの責任は重いものであると受け止めており、経営層の方々もその点をご認識いただければありがたい。最後に、この四半期についてのトピックで、先般、廣瀬社長も一緒に、柏崎刈羽原子力発電所と本店でのブラインドでのシミュレーションの訓練を見せていただいた。3.11のときのテレビ会議と比べると、特に発電所側は格段に様々なものが整理されるなどの進歩がみられた。一方、やはり本店側の対応については、権限の問題について詰める必要があると感じた。加えて今後は、外部との関係、つまりリスクコミュニケーションやソーシャルコミュニケーションの段階まで進んだ訓練を実施していただき、将来的には国、あるいは地方公共団体住民と共同した訓練が行えるように考えていただければありがたい。他の委員からも話があったように、残念ながら先日、汚染水の問題が起きてしまった。これからも私どもとしては進捗状況をよく見せていただくので、何かが起こったときには迅速に情報提供していただきたい。

原子力改革特別タスクフォース長より挨拶

(廣瀬タスクフォース長)
原子力改革監視委員会のメンバーの皆さまには、3月29日に原子力事故の総括と改革プランをまとめていただき、皆さまの力で、プランは本当に立派なものが完成した。ただその実際の展開が始まった先から、ねずみによる停電や地下貯水槽からの水漏れといった問題が発生し、その対応が必ずしもうまくいっていない状況が続いている。そうした中、またこのたび、汚染水が湾内に漏れているか否かおよび公表の判断の遅れがあったということで、この件に関しては、私どもの振り返りや反省、対策等々について、この場をお借りして改めて詳しくご説明させていただきたいと思う。皆さまのアドバイスやサポートに十分お応えできていないことに関して、本当に申し訳なく思っている。

原子力改革監視委員会から東京電力取締役会への答申

当委員会は、2013年7月26日に開催された第4回原子力改革監視委員会において、東京電力原子力改革特別タスクフォースから「原子力安全改革プラン」の進捗状況について報告を受け、改革プランの状況を確認しました。この結果、以下のとおり当委員会から東京電力取締役会へ答申しました。